外発的動機づけとは何か?
簡単に説明するとアメとムチ(信賞必罰)によって人を動機づけさせる方法です。外発的動機づけによって人を動機づけさせる方法は社会のあらゆるところで使われています。
身近な例だと子供に勉強を動機づけさせるためにテストでいい点を取ったらゲームを買ってあげて、悪い点だったらお小遣いを減らすことは外発的動機づけです。
また、会社で社員に仕事を動機づけさせるためにいい結果を出したら給料を増やし出世させてあげて、悪い結果だと降格又は給料を減らすことも外発的動機づけです。
あまりにもあらゆるところで当たり前に使われている動機付け方法なので、何も疑問を持たない人が多いと思います。しかし外発的動機づけによって人を動機付けさせることは大きな問題点があるのです。
外発的動機づけ6つの問題点
人が本来持っている情熱や好奇心を失わせる
外発的動機づけで人を動かそうとすると本来人が持っている仕事や勉強などに対する情熱や好奇心いわゆる内発的動機づけを失わせてしまいます。子供が好きで本を読んでいるのに、1冊読むごとにお小遣いをあげるようになるとお小遣いが気になってしまいます。そして次第に本を読むことに対して興味を失ってしまうのです。
逆に成果が落ちる
面白いことに外発的動機づけだと逆に成果が落ちることが多くの心理学実験が証明しています。
人からクリエイティブティを奪う
報酬などで人を動かそうとすると問題解決能力などの人のクリエイティビティ能力を下げてしまいます。それを証明した有名な実験がロウソク問題です。
1945年にカール・ドゥンカーという心理学者が考えた実験です。詳しい実験内容はTEDのダニエルピンクが説明しているので参考にしてください。
モラルに反する行動を促進してしまう
最近企業のモラルハザードが大きな問題になっているが、外発的動機づけで人を動かそうとするとモラルハザードを助長させてしまう効力があるのです。
どんな企業でも目標を設定されているが、他人から課せられ、短期的で計測可能な目標で達成されれば大きな見返りがあるときにモラルハザードが起こりやすいのである。
例えば営業マンが短期的なノルマを達成するために顧客を騙して商品を売りつけようとすることなどです。
外発的報酬がないと行動しなくなる
スタンフォード大学の科学者ブライアンナットソンの実験結果によると金銭的報酬を約束した場合とコカインなどの薬物を摂取した場合では人間の脳を観察するとびっくりすることに同じような反応を見せるということです。
つまり外発的報酬は麻薬のように依存性があり、なくなってしまうと人は行動しなくなってしまうのです。
例えば子供にドリルをさせるためにお小遣いを与えていたら、逆にお小遣いを与えないと全くドリルをしなくなってしまうのです。
短期的な視点になる
成果を上げると報酬がもらえるようにすると人は報酬を手に入れようとするあまり短期的な視点でしか考えられなくなります。成果を上げるために顧客を騙してでも売り上げを上げようとするモラルに反する行動も報酬を手に入れようとして短期的な視点でしか考えられていない結果です。
基本的な報酬が担保されないと動機づけは生まれない
もしあなたが人のやる気を引き出そうと思っているなら外発的動機づけの問題点を理解して、できるだけ避けた方がいいでしょう。それよりは人の興味、情熱、好奇心を引き出すような内発的動機づけでやる気を引き出すことが大切です。
ただよく勘違いされるので理解してほしいのですが、仕事において生活できる基本的な報酬が担保されなければどんな方法でもやる気は起きないということです。
生活できる基本的な報酬が担保されてから外発的動機づけで人に仕事をさせようとするとさまざまな問題があるのです。人は外発的報酬では動かないからといって生活自体が苦しくなる給料大系だと全く逆効果になってしまうことは忘れてはいけません。